気持ちいい関係。

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ex18.くーちゃん、社長さんとホワイトデーデートをする。


ふんふんと鼻歌を歌っている杏と祐哉はデート中だ。
久しぶりの二人きりに祐哉もデートを楽しんでいる。

「ゆーやっ。手っ」

手を差し出してくる杏の手に祐哉は指を絡めて手を繋いだ。
手首には二人で贈りあったブレスレッドが煌めいている。
繋いだ手を見て杏は満足そうに口元を緩めて祐哉に寄り添った。

「今日はやけに甘えん坊ですね?」
「ホワイトデーのお返しデートだもんっ。甘えちゃうよっ」
「そうでしたね」

祐哉は数日前を振り返ってくすくすと笑う。
ホワイトデーのプレゼントはなにがいいかと聞けば、デートしてえっち!という答えが返ってきた。
杏はどこまでも通常運転だ。
こどもたちも大きくなり一日くらい両親が家を空けたところで問題はない。
家事は長男の一哉と長女の杏季に任せて、祐哉と杏は外出したのだった。

「祐哉を独り占めっ」
「私も同じですよ。くぅを独り占めです」

人目さえなければキスをして服を脱いで満足するまで触れ合うのに、と思いながら杏は祐哉にぎゅっと抱きついた。
うーっと唸る杏の頭を撫でながら祐哉は仕方のない人ですねと囁く。

「だってぇ〜」
「もう少し我慢できませんか?」
「んぅゅ〜」

杏はちらりと祐哉を見上げるとすぐに胸元に顔を埋めてぐりぐりと頭を押し付けた。
よしよしとなだめるように頭を撫でると祐哉は杏の頭にちゅっとキスをする。

「夜になれば可愛がってあげますから、もう少し私にお付き合いください」
「う、うん」
「くぅの望むまま、抱いて差し上げますよ」
「!」

目を見開いた杏はうんっと元気よく返事をすると祐哉を見上げて行こっと手を引っ張った。
頭で考えていることがだだ漏れの杏に祐哉は苦笑いする。

「くぅ。妄想が口を出てますよ」
「あっ」
「お嬢様と執事、大いに結構ですが」

杏の要望はお嬢様と少しSっ気のある執事、だ。
残念ながら祐哉にサディステックな面はない。

「できる限り努力しましょう」
「えー。ゆーや、えっちのとき、すっごく攻めてくるのに?」
「痛めつける意味で攻めてはいないでしょう」
「それはそうだけどー」
「愛を持ってあなたに触れているんです」
「うぁー」

にこりと笑った祐哉に杏は顔を赤らめて反則だあと叫んだ。
すれ違う人がぎょっとした顔をしていたがすぐに、なんだ痴話喧嘩かと視線を元に戻す。

「くぅを愛しているからこそ、激しく求めたいんです」
「も、もぅいいってばぁっ」
「くぅに関しては語り足りませんが?」
「わかったってばぁ〜。うぅ〜」

珍しくもじもじしている杏は買い物の間、祐哉の顔を見ては、きゃぁ〜と小さく叫び悶えていた。
目論見通りに祐哉に落ちた杏を見て、祐哉はほくそ笑むのだ。

「あなたは私だけ見ていればいいんですよ」
「それはくーちゃんも同じなのっ。ゆーやはぁ!くーちゃんだけ見てたらいいのっ」
「ええ。わかっていますよ」

ちゅっとこめかみにキスをすると祐哉は上機嫌で笑う。
んもぅと祐哉の顔を手のひらで押しやると杏もまんざらでもなさそうににんまりとしている。

「早く、夜、来ないかなぁ〜」
「あっという間ですよ。それまでは私にお付き合いを」
「はぁい〜」

祐哉は杏に春物のコートとパンプス、カバンをプレゼントすると、杏はやったぁ!と飛び跳ねるように大喜びした。
最近流行りだという『eile』の商品だ。
杏も気に入らないわけがない。
コートとカバンに頬ずりしている様に苦笑いする。

「人気でなかなか手に入らないのにぃ〜」
「佳のおかげ、ですね」
「えええ〜〜〜。カレシさまぁ〜」

むぅと杏は頬を膨らませるとそれは気に入らないと顔をしかめる。
佳は祐哉の事務所所属の俳優の一人だが、杏とは天敵同士なのだ。
とにかく顔を合わせれば口が出る。
手足が出ないだけましなのか、低レベルな言い争いに祐哉も呆れるほどだ。

「佳がモデルとして起用されていなければ、手には入らなかったでしょうね」
「コネってこと?」
「よくも悪くも言えば」
「ふぅ〜ん」
「売れた、ということもあると思いますけどね」

いい男が着れば、服の価値が上がる。
それが、有澤佳という男が着たのならなおさらだ。

「ゆーやが着ても人気でそぉ」
「私は遠慮しておきます。あなただけの私でいたいので」
「そ、そういうのぉー、いきなり、言うの、反則だからっ」

もおお!と祐哉の背中をばしばしと叩いて杏はきゃあきゃあと声をあげている。
事実、祐哉は芸能プロダクションを経営しているが、自身が表に出ようという気はない。

「私は裏方が一番似合っていますよ」
「ゆーやが、うらかたぁ?ありえなーい」

あははと笑う杏に祐哉は杏の額を小突いた。
いたぁいと睨んでくる杏の耳元に唇を寄せて囁く。

「裏方という仕事も大切なんですよ」
「はいはい。そぉいうことにしておいてあげるっ」

くすくすと笑う杏の腰を抱き寄せて祐哉は杏の額にこつんと額をあてた。
十分人前でいちゃついているが、本人たちはまったくもって気にしていない。

「さて。くぅ。そろそろ行きますか」
「はぁい」
「ホテルでディナーをしたあとはあなたの思うがままに」
「やったぁ〜」

喜ぶ杏と手を繋いで祐哉は夕闇が迫る街並みを歩いたのだった。


続きます。
お約束ですよね^^;
次回はがっつりR18です。

2015/03/15 投稿。


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