気持ちいい関係。

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13.くーちゃん、おウチ改造計画。


杏が祐哉の家に住むようになってから二週間。
それなりに充実した毎日を過ごしている。
生活感のなかった祐哉の家はあっという間に杏仕様に仕上げられた。
リビングには観葉植物が所狭しと置かれ、テレビボードの周りにはアロマグッズがずらりと並ぶ。
バスルームにもちょっとした観葉植物が置かれ、家のいたるところが緑の園となっている。

杏が祐哉の家に強制的に連れて来られた翌々日。
痛む体を引きずってリビングのソファに座ると部屋をぐるりと見渡した。
隣に座った祐哉はゆったりとソファに座ってコーヒーを飲んでいる。

「ゆーや」
「何でしょう?」
「この家、今まで住んでた?」
「一応」
「ふぅん」

一瞬間があったのだが、住んでませんと言っているようなものだ。
寝室だけは整えられていたということは女性を連れ込むためだけの家か、眠るためだけの家のどちらかだ。
杏は後者だろうと予測する。
前者ならもっとリビングやバスルームを整えているはずだ。
女性に好まれたいならセンスよくしておいたほうがいい。
そうしていないのなら眠るためだけ、としか考えられなかった。
リビングにはソファとテーブル、それにテレビだけしかない。
ラグも敷いていないリビングはひんやりとしている。
バスルームも素敵だが祐哉のアメニティが無造作に置かれているだけで素敵さが半減しているのだ。
思案している杏を祐哉は後ろから抱き締めると耳元で囁いた。
杏を落とすなら耳元で囁くのが一番なのだ。

「一言言っておきますけど、女性をあげたのは杏が初めてですよ」
「そんなことどーでもいいのっ」

杏は女性を連れ込んだだのなんだのということをまったくもって気にしない性格だった。
それよりももっと重要なは室内のことだ。
家は安らぐところと思っている杏は何もない殺風景さに息苦しさを感じている。
誰もいないのだと思わされて落ち着かなくなるのだ。
あれもこれも置きたいとは思うが家主に無断であれこれはできない。
変なところで真面目な杏である。
首をかしげている祐哉を見上げて杏はねだった。

「好きにしていいー?」
「どうぞ?」

ということでみるみるうちに杏好みの祐哉と杏の愛の巣が出来上がったのである。
もちろん経費は祐哉払いだ。
杏も出資すると言ったのだが祐哉が首を縦に振らなかった。
それなら遠慮なくと家具屋でカーテンやラグ、テレビボードを購入するとほくほくと笑みを浮かべる。
次に向かったのは大型観葉植物を扱う店だ。
あれもこれもと観葉植物を購入する。
数日後、運び込まれたカーテンやラグ、テレビボード、観葉植物を設置して杏は目を輝かせた。
満足に仕上がった室内にうふっと笑みを漏らす。

「くぅ。我が家をジャングルにしてどうするつもりですか」
「え?まだまだ増やすよ?」
「は?」

まだこれ以上に観葉植物を増やすというのかと祐哉は目を見開く。
好きにしていいと言った手前、いまさらダメだとは言えない。

「寝室にも置きたいなぁ」

うっとりとした顔をした杏を見て祐哉はため息をつく。
寝室もそのうち観葉植物に占拠されるだろう。
だがそれはそれでいいのかもしれない。
緑に囲まれてのセックスは開放感溢れるものになるに違いない。
それならばと祐哉もせっせと観葉植物を物色し始めたのだった。

2014/05/17 投稿。


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