気持ちいい関係。

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37.くーちゃん、はるかに相談する。


「はるかーーー!たのもおおおおおお」
「お断りします」
「断んないでよ!」
「えー、メンドくさいんだもの」
「メンドくさいなんて言わない!」

いつものやり取りを交わした杏ははるかの家にやってきていた。
仕事帰りにはるかの元へやってくるのも二週間ぶりだ。

「今日はカレシさまが遅いのはリサーチ済み!」
「そういうのは個人情報って言うでしょう?」
「直哉くんが教えてくれた!」

えっへんと胸を張る杏にはるかははぁとため息をつく。
夕食の準備をしていたはるかに便乗して杏も夕食を摂る。
今日のメニューは牛肉のサイコロステーキにじゃがいものポタージュ、かぼちゃのキッシュと根野菜のサラダだった。
サイコロステーキにははるか特製の青じそソースがかかっている。
醤油ベースのたれはさっぽりとした風味だ。
レモンの酸味も食欲を掻き立てる。

「んぅ〜おいちぃ」

もぐもぐと動かしている口元にはにんまりと笑みが浮かんでいる。
じゃがいものポタージュも生クリーム仕立てで濃厚だ。

「幸せぇ〜」
「くーちゃんもちゃんと料理すればいいのに」
「無理無理。はるかだってわかってるでしょー」
「まぁそうだけど」
「できないことはしないことにしてるのー」
「それだと社長さんが可哀想よ?」
「ゆーやのほうが料理上手だからいいのっ」

自慢にもならないことを自慢して杏は食事を済ませると食後のデザートを持ってリビングに移動した。
梨のシャーベットは格別だ。
あまりの美味しさに目を潤ます。

「ううう。はるかぁ」
「イヤだからね」
「まだなにも言ってないのにぃ」
「くーちゃんの言うことぐらいわかるわよ。『お嫁にきてぇ〜』でしょ?」
「なーんだ。つまんなーい」

スプーンを咥えたまま杏はぷぅと頬を膨らませる。
はるかは肩をすくめるとティーカップに口づけながらそれで?と話を切り出した。

「なにか用事があったんでしょ?」
「あーうん。はるかにちょっと相談」

スプーンをことりとテーブルの上に置くと杏は真剣な顔をしてずずっとはるかに顔を近づけた。
あまりの迫力にはるかは仰け反る。

「ねぇ。はるか」
「な、なに?」
「普通のデートって、どうしたらいいの?」
「は?」

ぽっかーんと口を開けているはるかを見て杏は首をかしげる。
なにかまずいことでも口走ったのだろうかと不安そうに眉を下げた。

「えっと。普通って、どういうこと?」
「だから!普通のデートってどうしたらいいと思う?」
「ごはん食べて映画見て、買い物して、じゃないの?」
「そうなんだけどぉ」

ゆーやと同じこと言うと杏はがっくりと肩を落とす。
もじもじする杏を見てはるかは目を細めた。
杏が今までにまっとうな恋愛をしていないことは十分にわかっていたがこんなところで弊害が出るとは思わなかったのだ。

「くーちゃん」
「なぁに?」
「私もあまり詳しいわけじゃないけど、ちょっと話し合いましょうか」
「え?」

ふふふと笑ったはるかの目を見て杏はひくりと顔を引きつらせる。
ぎゃああああああああああと悲鳴が響き渡ったのはすぐあとのことだった。


はるか大迷惑。
教育するのも大変です。

2014/05/26 投稿。


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