気持ちいい関係。

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61.似たもの兄弟。


勢いとは恐ろしい。
そう思ったのは直哉である。
メールがあったかと思えば今度は祐哉と杏が直哉の家を襲撃したのだ。

「直哉くん!未菜ちゃん!これ書いて!」
「「え?」」

直哉と直哉の妻である未菜は突き出された紙切れを見て素っ頓狂な声をあげる。
機嫌のいい杏に突き出されたのは見間違いでなければ婚姻届であった。

「え?どういうことですか?」

真琴が来て困っているのでスマホの電源を落とします。用があればくぅまでというメール内容だったはずだ。
それが何故婚姻届の証人になれになるのか。
直哉と未菜は顔を合わせて首をかしげた。

「いろいろと事情がありまして」
「そーなのっ!あの子がさー、ゆーやと結婚するって言うからカッとしちゃってぇ〜」

あははーと笑う杏はどこまでも呑気だ。
未菜は未菜で祐哉と杏の恋物語に妄想を抱いている。
目をきらきらとさせて杏の手を握りしめているのだ。

「す、すぐに書くねっ」
「ありがと!未菜ちゃん!」
「障害に負けちゃダメだからねっ」
「うんうん」

大の仲良しである二人は意気投合している。
婚姻届を書いたことのある未菜はすらすらと用紙に記入していく。
杏もその場で記入をして未菜のアドバイスを受けている。
苦笑を浮かべている祐哉を見て直哉は手のひらに顔を埋めた。

「すみませんね。夜分遅くに」
「いえ、杏さんの突拍子のなさに驚いているだけです」
「くぅに常識は通用しませんよ」
「兄さんも大変ですね」

肩をすくめる祐哉に直哉は同情の眼差しを向ける。
仲良く頭を寄せ合っている杏と未菜は楽しげだ。

「父さんと母さんにはどう言うんです?」
「そのことについては心配ありません。真琴のことで話をつけるときに話をしています」
「相変わらず抜かりありませんね」

くすくすと笑う祐哉はどこか楽しそうだ。
祐哉がいいと言うのなら直哉も反対することはない。
むしろ大賛成である。

「遅かれ早かれくぅとは入籍するつもりでしたから」
「それが突然今日、ですか」
「くぅの手にかかれば予定なんてあってないようなものですよ」

できたー!と紙を掲げると杏は祐哉に、次はゆーやねっと言って紙を手渡したのだ。
杏の頭を撫でながら婚姻届を受け取ると祐哉と直哉も記入する。

「くーちゃん。おめでとう!」
「ありがとー。未菜ちゃん」

感極まって抱き合っている二人に祐哉と直哉は苦笑いするしかない。
はいはいと言って祐哉は杏を、直哉は未菜を後ろから抱き締めて引き剥がすとちゅっとキスをしたのだ。
んーぅと祐哉の口の中に舌を入れて絡ませる杏と、うーうーっ!と暴れる未菜と異なった反応を示す。

「んんぅ。ゆーや。たんなーい」
「家に帰ったらいくらでも」
「んぅー」

祐哉の首に腕を回してもうちょっとと杏はねだる。
その後ろでは未菜が直くんのバカー!と叫んでいた。

「くーちゃんいるのにーっ」
「あっちはあっちで盛り上がっているから関係ないよ?未菜」
「やだぁ」

直哉の頬をむにーと引っ張ってお仕置きっと怒る未菜に直哉は笑みを浮かべる。
僕の奥さんは可愛いなぁと呟くと未菜の顔がみるみると赤くなったのだ。
にんまりと笑みを浮かべた直哉は未菜の耳元で囁く。
やることが似ているあたりそっくりな兄弟だ。

「なーんか。直哉くん、ゆーやとそっくりだねぇ」
「兄弟ですから」

くすくすと笑う祐哉は杏の頭を撫でると目元にちゅっとキスをした。
用は終わったのだいつまででも直哉の家にいるべきではない。

「んー。なんだか私たちお邪魔ー?」
「そのようですね」
「書いてもらったし、ゆーや、そろそろ行こっか」
「ええ。そうしましょう」

祐哉と杏はそっと直哉と未菜の家を後にすると再び区役所に向かったのだった。


未菜ちゃんもタイヘーン。
いろいろとツッコミどころは満載ですが妄想なのでお許しくださればありがたいです。
昔友人がノリだけで婚姻届を出そうとしたことがあったのでそのネタです。
くーちゃんならやりそうですよね。
もちろん友人たちは結婚はしてません。
酔った勢い怖い。

2014/06/02 投稿。


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