気持ちいい関係。

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63.続いていく気持ちいい関係。


くったりと果てた杏は枕に顔を埋めて突っ伏している。
さすがの杏も疲れ果てて動く気にもなれなかった。
意識を失って眠っていたら楽だったのにと思わずにはいられないのだ。
杏の臀部に生えているしっぽはそのままにしてある。
触るだけで気が狂うほどの快楽が襲ってくるからだ。
はふっと息をつくと下腹部に手をあてて撫でる。
毎日毎日飽きもせずにセックスをしておいてコウノトリはこないもんだねぇと内心呟く。
薬のせいもあるだろうがそれにしても、である。
あれだけ祐哉の精を受け止めてできないのはもはや奇跡だ。
一緒に住むようになって半年。
真琴のこともあるが祐哉の魅力にあてられっぱなしの杏は祐哉のミニチュアが見たいと思うようになっていたのだ。
きっかけは直哉の妻である未菜に見せてもらったアルバムだ。
ミニチュアの祐哉を見て杏は萌えに萌えたのである。
そのときから杏はこどもを意識するようになった。

「ねぇ。ゆーや」
「はい?」
「明日、仕事の帰りに病院に行ってくるー」
「どうしてです?」
「いろいろー」
「どういうことです?」

枕に肘をついて頬杖をついている祐哉は眉間にしわを寄せる。
杏がくすっと笑うと祐哉の眉間に手を伸ばしてなでなでと撫でた。

「あかちゃん、できないから、薬、やめよーかなーって」

祐哉は驚いた顔をして杏をまじまじと見つめた。
恥ずかしそうに枕に顔を埋める杏はごにょごにょと呟いている。

「私ももう歳だしぃ。ゆーやももういいおじさんだしぃ」
「結婚もそうですが、こどもはいらないと言うと思いました」
「思ってたんだけどぉー」

もにょもにょとしている杏はちらりと祐哉を見て悶えている。
どこに悶える要素があったのかさっぱりわからずに祐哉は首をかしげた。

「くぅ」
「なぁに?」
「変なモノでも食べましたか?」
「はぁ?」
「今日は結婚すると言ってみたり、こどもが欲しいと言ってみたり、地球が消滅する寸前かなにかですか?」

さりげなく酷いことを言われた杏はがばりと体を起こして祐哉に詰め寄った。
目を吊り上げて怒っている杏に祐哉はくすくすと笑う。

「変なモノ食べてないしっ、地球も消滅しないしっ!笑いごとじゃないしっ」
「くぅの心境の変化に驚いただけですよ」
「んもぅっ。未菜ちゃんにアルバム見せてもらって、ミニチュアのゆーやがほしくなったのっ」

ほしくなったからといってすぐに手に入るものではないが杏が祐哉の子を望んだのだ。
それなら惜しみなく祐哉は協力する。

「私も一緒に行きましょうか?」
「へ?」
「病院に」
「え?え!?」
「もしかしたら私に異常があるのかもしれません」
「ゆーやにいじょお?」

素っ頓狂な声をあげた杏はぷっと吹き出してきゃらきゃらと笑いだす。
ひーひーと笑ったあと、杏は祐哉に抱きついてすりすりと甘えた。

「薬やめてできなかったら考えるぅ」
「そうですか」
「うん」

祐哉は杏の柔らかな体を抱き締めるとふぅと息をつく。
早すぎる展開に祐哉もついていくのがやっとだ。

「本当に産んでくださるんですか?」
「うん。産んでもいいかなーとは、思う」

祐哉は確認したところで杏のしっぽに触れてもう一度と囁いて杏の体に沈み込んだ。
ああん!と喘ぐ杏は祐哉を奥深くまで咥え込んで快楽に酔いしれた。

「ゆーや。すき」
「私もですよ」
「ずっと『気持ちいい関係』でいてよね」
「ええ。ずっとです」

くすりと笑い合うと唇を寄せ合って口づけた。
エッチと男が大好きだった杏とどこか冷めたところのある祐哉の物語はこれにて終幕。
二人の気持ちいい関係はどこまでも続いていく。

杏が薬の服用をやめてから数ヵ月後。
二人の元にコウノトリがやってきたのは言うまでもない。


次は数年後です。
くーちゃんとしゃちょーさんがどうなったのかお楽しみくださいませ。

2014/06/02 投稿。


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