気持ちいい関係。

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ex01.未菜ちゃん、くーちゃんをそそのかす。


こぼれ話のスタートです。
本編に収まりきらなかったあれやこれ。



祐哉のカノジョである杏と直哉の妻である未菜は大の仲良しだ。
年の離れた二人ではあるが意気投合をしている。
杏が祐哉の家に住むようになってすぐに祐哉から直哉と未菜が紹介されたのだ。
今まで独り身を貫いていた祐哉が女性と暮らしているという事実に直哉と未菜も驚きを隠せなかった。
驚いている二人に杏はにこにこと笑って衝撃の一言を放つ。

「直哉くんが結婚してなかったらえっちしてもらったのにぃ」

唖然としたのは直哉と未菜だけで祐哉は苦笑いしていた。
杏の腰を引き寄せると浮気は許しませんよと囁いて直哉と未菜の目の前で濃厚なラブシーンを繰り広げたのである。

「んんぅ。ゆーやぁ」

祐哉の首に腕を回してもっととねだる杏に未菜はかぁと顔を赤らめた。
積極的な杏を羨ましいと少し思ってしまったのだ。
子供を産む前のほうが私も積極的だったかもと思い返す。
高校に入学して初めての夏に未菜は直哉から告白をされた。
それからずっと付き合いが続いて大学入学と同時に入籍をしたのだ。
未菜の両親は本人同士がいいんだったら好きにしなさいとあっさりしたものだったが、問題は直哉のほうにあった。
すったもんだの事件はあったが今はいい思い出である。
仲良くしている祐哉と杏を見て未菜はぐっと手に力を込めた。
今夜は頑張る!と。
その日の夜、未菜が積極的に直哉を誘ったのは言うまでもない。
杏の人見知りをしない性格のおかげで直哉と未菜はあっという間に杏に打ち解けた。
特に杏と未菜はひっきりなしにメールのやり取りをしていて暇さえあれば一緒に出かけているのだ。
今日も今日とて仕事に励んでいる祐哉と直哉を置き去りにして二人で休日ランチである。
遅れてやってきた杏はいつものカフェの定位置にいる未菜を見つけると手を振った。

「やっほー。未菜ちゃん!」
「くーちゃん!こんにちは!」

直哉と同い年である未菜はどこからどうみても十歳と二歳のこどもがいるとは思えない体型をしている。
すらっとした可愛い系の美人だ。
杏がきょろきょろと辺りを見渡しているのを見て未菜は苦笑する。

「あれー?芳哉(よしや)くんと菜々子(ななこ)ちゃんはぁ?」
「今日は私の実家に預けてきたの」
「連れてきたらよかったのにー」
「芳くんはいいんだけど、菜々子ちゃんがぐずったから」

そっか、と杏が残念そうに言うと未菜の正面に座ってアイスティーをオーダーした。
杏は素直でまだまだ可愛さの残っている芳哉がお気に入りなのだ。
おっきくなればイケメンになる!と杏は力説する。
今のうちに手懐けておかなきゃ!と張り切っているのだ。
付き合いは短いが杏がエッチと男性が大好きなことを直哉も未菜も理解している。
身近で芸能人を見ているせいか杏のような女性を見ても驚くことがない。

「また今度おうちに遊びに来てね」
「うん」
「あ。そうだ!くーちゃんに頼まれてたの持ってきたよ」

未菜が鞄の中からごそごそととあるものを取り出すと杏の目が輝いた。
テーブルに置かれた一冊のアルバム。
幼い芳哉を見て、ゆーやのちっさいころ見たかったなぁと呟いたのがことの発端だった。

「うわーうわーーーー!」

アルバムを一枚捲るたびに杏は歓喜の声をあげている。
ぷるぷると手を震わせている姿に未菜はくすくすと笑う。
喜ぶ杏を見ていると持ってきてよかったと思うのだ。

「むちゃくちゃ可愛いーーーっ!やだーーー!なにこれーーー!直哉くんもめっちゃ可愛い!」
「でしょーーーっ」
「ゆーやのミニチュアっ!いやああああんっ。ぎゅーしたい、ちゅーしたーーーい!」

悶えている杏を見て未菜ははたと気づく。
ミニチュアを抱き締めたいという気持ちは未菜にもあった。
実際に芳哉を抱き締めてちゅーをするのは未菜の特権だ。
まだまだほかの女の子に譲る気はない。
直くんのミニチュアを抱き締めたい!そう願って産まれてきた子が芳哉だ。
初めて芳哉を腕に抱いたときの感動はいつまで経っても鮮明に覚えていた。

「くーちゃん」
「なぁに?」

アルバムを見るのに必死な杏の返事は生返事だ。
んぅ〜〜〜この写真ほちぃ〜と手足をばたばたとさせているのである。

「いいこと思いついたの」
「ん?いいこと?」
「そ」

ふふっと笑った未菜に杏は首をかしげる。
未菜が楽しそうにしているのはいつものことだがにこにこ度が三割増しになっているような気がしたのだ。

「ミニチュアの祐くん。産んじゃえばいいのよ」
「んんぅ?」

一瞬なにを言われたのかわからず杏は顔をあげるとぱちぱちと目を瞬かせた。
未菜はテーブルに手をついて身を乗り出すと杏に顔を突き出してゆっくりともう一度繰り返す。

「祐くんの、赤ちゃん、産んじゃえば、いいのよっ!」
「ゆーやの、あかちゃ、え?え!えーーーーーーーーーーー!?」

未菜の言葉を反復した杏は途中で言われている意味に気づいたのか絶叫した。
慌てて口を塞いでも遅い。
じろじろとほかの客から視線を浴びて杏は身を小さくする。
にんまりと笑う未菜はえっへんと胸を張った。

「私もね。直くんのミニチュアほしかったの」
「ほしーって思ってできるもんじゃぁ」
「そうなんだけどー。最近はますます直くんに似てきて、抱き締め放題なのっ」

うっとりとした顔をした未菜に杏は苦笑いを浮かべる。
言わんとしていることはわからないでもないが、結婚さえまだの杏にこどもなど遠い彼方の話だ。
遠い彼方の話ではあるが想像をしただけでもうっとりできる。
自分好みに育てられるかもしれない、夢のような話なのだ。

「んぅぅ〜萌え〜」
「でしょーーーっ」
「やばい。まじやばい。はまりそう」
「本当にできちゃったらはまるから!」

ねね。
だからこども、つくっちゃえば?
と、未菜にそそのかされた杏は見事、その罠にかかった。
祐哉を見るたびににまぁと笑ったのである。
杏の不気味な笑みに祐哉は顔をしかめた。

「くぅ」
「なぁに?」
「何ですかその顔」
「えー?」
「気持ち悪いですよ。にまにまして」

くふふと笑うと祐哉にちゅーとキスを迫って杏は祐哉を押し倒す。
ミニチュアの祐哉を想像するだけで悶絶できるのだ。
ぷちぷちとワイシャツのボタンをはずしていくと首筋に顔を埋めてちゅちゅとキスをしていく。
杏は祐哉の体を舐めながら手を這わせた。
きゅっと祐哉のものを掴むとゆっくりと扱いていく。

「なにを考えていらっしゃるので?」
「なーいしょおっ」

祐哉を中に収めると杏はああんと気持ちよさそうな顔をして啼いた。
この数か月後、夢が現実になろうとしたのだ。
杏はまさかまさかの祐哉と入籍をすることになる。
そして夢の祐哉ミニチュア計画を実行するために子づくり宣言することになったのだ。


時系列では53と54の間くらい。
未菜ちゃんがくーちゃんをそそのかす話が先に思いついて、割り込ませると話に終わりが見えないような気がしたので保留にしておいたもの。
本編終わったらこぼれ話で載せようとストックしてました。
未菜ちゃんの結婚についてはまたこぼれ話で。

2014/06/07 投稿。


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